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免疫バランスが崩壊すると病気になる
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免疫系(免疫力)はバランスが命
・免疫を語る上で、リンパ球と顆粒球のバランスはとても重要です。
リンパ球と顆粒球のバランスが極端に崩れると、いろいろな疾病に見舞われます。リラックスモードの副交感神経が優位になるとリンパ球が増え→アレルギーなどを引き起こし、興奮モードの交感神経が優位になると顆粒球が増え→ガンなど組織の破壊を引き起こします。(安保徹教授(新潟大学大学院医歯学総合研究科教授)著書「免疫革命」を参照)
・免疫系が正しく働くには、正確でスピーディな“自己・非自己の異物の認識”、“適切な攻撃の開始と終了”の制御が重要な鍵となります。
その際、マクロファージなどが放出する免疫物質であるサイトカインは、免疫機能の中で非常に重要な役割を果たします。トランスファー因子をはじめとする各種サイトカインは、免疫系の指揮命令を伝達する“メッセンジャー(情報伝達)”と”コントロール(制御)”の機能を担います。
免疫系において、基本的に重要なことは、過剰反応や健康な細胞の攻撃をして消耗することのないように、迅速かつ有効的に反応することです。 「@如何に外敵に対して迅速に反応できるよう促すか。A如何に外敵を特徴づけ明確に認識できるように標識となれるか。B如何に排除した外敵を再確認し、再度の侵入者か否かの目標を定めるられるようにするか」の役割が、免疫系のバランス適応力を高める上では、これまたとても重要なことです。
免疫力のバランスが崩れると
さまざまな弊害が起こります。例えば ・自己細胞の変質:代表的なものにガンがあります。死亡率が第一位。 ・生活習慣病:代表的なものに糖尿病など。 ↑上記の方は、免疫力を高める ↓下記の方は、免疫力を調整する ・誤爆(自己免疫疾患):もし、味方(自分自身の細胞)を“敵”と誤認してしまったら・・・。自分自身の細胞が破壊され、慢性的な炎症を惹き起こします。不幸なことにこのような疾患に悩む方が多数おられます。 ・過剰防衛(アレルギー):スギ花粉のように無害な外来異物に対して、過剰な免疫反応が生じると、不必要な炎症が惹き起こされます。
私たちをとりまく環境は日々、悪化の一途をたどっています。周囲を見渡す限り、大気汚染・水質汚染・食品汚染などをはじめ、南北極のオゾン破壊に至るまで、地球が住み難くなってきたと、毎日どこかしこで報道されています。
さらに輪をかけるように、ウイルス・バクテリア・寄生虫・真菌などが抗生物質に耐性が出来たために免疫力が低下、人々の健康を損ねてきているのも現状です。(NHKスペシャル「クライシス2000」より)
日本では、2011年に22,681人が結核を発病し、発病したおよそ10人に1人、2,166人の方が亡くなりました(厚生労働省平成23年人口動態統計の概況から)。死亡者数でみるかぎり、結核はインフルエンザの3倍以上であり、結核は今でもなお最大級の感染症と言えます。
これは結核菌が抗生物質に対しての耐性、つまり、投薬では完治できなくなってきたという一例です。
1993年、WHO(世界保健機構)は結核に関する「世界非常事態宣言」をだしました。世界人口の3分の1をこえる人々が、結核菌に感染しているということです。また米国政府は1997年10月に公式発表として、「近い将来、結核の治療が不可能になる」と全ての国に緊急警告を発しました。
2006年以来、日本では、毎年約3万人が結核を発症しています。若い頃に感染した人が、免疫力の低下と共に高齢になってから発症(新たな発症の6割が60歳以上)する例が増えています。
以上のように私たちを取り巻く様々な要因が、免疫バランスを突き崩しています。
その結果、免疫系が損なわれ、免疫機能が弱まり、・腫瘍性疾患・循環器系疾患・自己免疫疾患・ウイルス性疾患・真菌性疾患・神経性疾患・寄生性疾患・難病・バクテリア性疾患・ミコバクテリウム疾患など、また、具体的にはガン、循環器系、花粉症、アレルギー、アトピー、エイズ、などの病気が、日常、増加しております。
ガン細胞の発生
・ガン細胞の発生は先天的、あるいは後天的な遺伝子レベルでの細胞障害がきっかけとなります。しかし本来、私たちが有している自然治癒力、「ガン細胞を排除する免疫力」が正常に機能しさえすれば、異常を生じた細胞(健康な人の体内でも、毎日3000〜4000個ほどのガン細胞が生まれています)は逐次体内から排除され、ガンの発病に至ることは稀なことです。しかしガン細胞は巧妙に隠れるすべを習得している代物で、侮れない存在です。この機能は年齢を重ねていくにしたがって衰え、また、発ガン物質といわれるものを長く取り込んだり、不摂生な生活習慣を続けていくうちに免疫細胞は活性化されなくなり、その力も弱まってきて、ガン細胞の力が勝ったとき、一気に「ガン発症」へと突き進んでしまいます。
このため、ガンの発病をもたらす最大要因は、免疫力低下(細胞性免疫の低下)にあると考えられています。中でもリンパ球の減少が引き金になります。ガン患者のほとんどは、体内のリンパ球が減り免疫力低下状態にあります。
最近になって、リンパ球の極端な減少は、肉体的・精神的な強いストレスにさらされ続けられた結果によるものとの見方が、一般的になりつつあります(ガン予防のために)
2002年度の死亡原因ワースト3 第1位 ガン 31.0%
第2位 心疾患 15.5%
第3位 脳血管疾患 13.2%
(日本の主要疾患別死亡率の推移)
循環器系疾患
・心疾患(心臓病など)、脳血管疾患(脳溢血など)等の循環器系疾患は、日本の死亡原因のワースト2位、3位を占め、特に65歳以上の高齢者診察医療費では40%近くに達するほどの日常的な病気です。
・その循環器系に及ぼす最大の原因は「動脈硬化」といわれています。動脈硬化になると、結局はその障害部位より先の重要な細胞が、栄養不足、酸素不足となって本来の働きを失ってしまう異常状態が生じ、それを引き金に、狭心症、心筋梗塞、脳血栓、脳梗塞、腎硬化などを発症させます。したがって大事なことは、この動脈硬化を如何に進展させないかであり、これはとりもなおさず、動脈硬化の危険因子と言われる異常状態を改善し、抑制することです。
ではその動脈硬化になる原因は何でしょうか? これまで一般的に動脈硬化の原因を「動脈硬化とは、全身をくまなく血液(生命維持にとり大変重要な酸素と栄養、免疫成分等を運ぶ運搬としての役割を担っている)を循環させるための動脈壁にコレステロールが沈着して組織が壊され、また血栓という塊が造られたりして血液の通りを悪くする(いわゆる循環障害を起こす)病態」と言われてきました。 しかし今日、さらなる研究によって「動脈壁にコレステロールが沈着」原因説は疑われています。「特定のバクテリアやウィルスの侵入」原因説が研究されるようになり、循環器疾患も免疫システムと深く関っていることが最近の研究で明らかになっています。
アレルギー(花粉症、喘息、アトピー)
アレルギーが目や鼻でおきると 花粉症
気管支でおきると 喘息
皮膚でおきると アトピ−
・花粉症の原因とされる花粉は53種類。その内80%以上がスギ花粉です。本来人間には無害な花粉。しかし大気汚染物質が付着し、都会のアスファルトに舞い降りて車に破壊された花粉は有害化され、そのために都市部で花粉症が増加していると考えられています。 有害化された花粉(抗原)が侵入すると、T細胞が無害か有害かを判断します。このT細胞は、汚染破壊された花粉に対し有害であると判断・認識してしまいます。そのためT細胞は、攻撃し排除するための抗体を作るようにB細胞に指令し、指令を受けたB細胞は、抗体「lgE=免疫グロブリンのEタイプ」を大量に生産、再び有害な花粉の侵入に備えます。花粉が目や鼻の粘膜、気管支などに付着すると、抗体で攻撃し、抗原抗体反応が起こり化学伝達物質として、ヒスタミンなどの刺激物が肥満細胞(好塩基球)から飛び出、このヒスタミンなどが神経や血管に作用し、くしゃみ、鼻水、涙などで体外に排出しようとして症状が起こります。
しかし誰でも花粉症にかかるとは限りません。ではそもそも花粉症にかかるのはなぜでしょうか? 花粉症にかかる人は次のような要因が考えられます。 @乳幼児期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、喘息などにかかったことがある。 Aハウスダストのダニにアレルギーを持っている。(住環境) B家族がアレルギーを持っている。(遺伝因子)
・アレルギーって? アレルギーとは、自分の体を守るはずの免疫系が働きすぎて、逆に自分の体を傷つけてしまうことです。
現代では、アトピー性皮膚炎や気管支喘息を代表するアレルギー疾患が激増し、過去数十年、患者数は増加の一途をたどっています。 実はその原因は、都会型生活パターンにあります。常に満腹リラックス、メリハリのない生活パターンと運動不足、病的な清潔潔癖主義(子供たちが外で遊ばなくなって、ケガもない、手も汚れない、衛生的すぎるものしか食べないなどの状態は、顆粒球を減らす)、炭酸ガス(排気ガス、炭酸飲料、人間の息など都会では炭酸ガス過剰、この炭酸ガスが体内の酸素と結びついて人間をリラックスさせる)、これらが、持続的なリンパ球過剰の体質を作り、その結果、多少の刺激にも過敏な反応を起こし、アレルギー発症に結びついてしまうのです。
アレルギー発症を引き起こす過敏な反応は、リンパ球の中の、抗体であるIgEとIgEを自分にくっつける仕組みをもつ肥満細胞と深く関係しています。 体内に花粉などのアレルギーの原因となる異物が侵入すると、B細胞はIgEを作り出します。そして肥満細胞の表面にどんどんIgEがくっついていきます。この状態で、再び花粉が入ってくると、肥満細胞上のIgEに花粉がとりつきます。すると、それがきっかけとなり、肥満細胞がヒスタミンと呼ばれる物質を放出します。 ヒスタミンには、血管を広げたり、筋肉を収縮させたり、神経を刺激したりする働きがあり、これが気管支でおきると喘息、皮膚でおきるとアトピ−、目や鼻でおきると花粉症となります。
このようにアレルギーとは、免疫機能の異常で起こる病気です。 アレルギー体質の方が免疫力アップを目指すなら、@長期的に「その場しのぎ的」な対症療法(かゆみ、痛み、発熱など)の解熱剤、鎮痛剤を用いない。A都会的な「ラク」をしない。B免疫バランスを整える食事を心がける。C健康食品を用いるなら、はじめからいきなりリンパ球を増やすものは避ける(免疫を調整するものから始めて、後に上げるものへ移行)。
自己免疫疾患 ・免疫系は、自己と非自己を区別してわたしの体を保つために存在するのですが、何らかの理由で自分の体の一部を非自己と認識してしまい、これを攻撃してしまうことがあります。これを自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)と呼び、そのしくみは、アレルギーとよく似ています。違うのは、アレルギーが外から侵入した抗原に反応するのに対し、自己免疫疾患は自分の一部を抗原とみなして攻撃してしまう点です。
つまり自己免疫疾患とは、臓器細胞であれ神経細胞であれ「自己細胞の破壊がきっかけとなり、破壊された細胞またはその成分に対する自己抗体ができ、自己の白血球による破壊が継続する疾患」と定義されます。 自己の白血球による細胞の破壊が開始され継続する理由は、「自己の細胞が異質な細胞となっているか、または異質な細胞とみなされているかのいずれか」です。
・自己免疫疾患は現代の難病といわれ、患者の数も年々増加し、慢性病の多くがこの種の病気です。 その代表は膠原病(こうげんびょう)と言われるもので、症状もさまざま、病名もなんと50ほどもあります。具体的には慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、橋本氏病、皮膚硬化症、皮膚節炎、ベーチェット病、シェーグレン症候群、甲状腺機能亢進性、自己免疫性肝炎などがあり、これ以外の自己免疫疾患に、インシュリン依存性糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、バセドウ病、悪性貧血、アジソン病、萎縮性胃炎、溶血性貧血、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、多発性硬化症、それに準ずるものでは、非依存性糖尿病、慢性腎炎、メニエール、突発性難聴、肺気腫、ウイルス性肝炎、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳神経細胞の受容体障害によるうつ病などさまざまな病気があります。
・自己免疫疾患の現在の治療方法:自己免疫疾患にはステロイドホルモン剤など免疫抑制剤が広く使用されております。直接または間接的に、細胞を破壊する側の白血球を弱化させる免疫抑制作用を持つ薬剤を使って、進行を抑える方法が主流です。 が、この治療方法を真っ向から否定する考え方が、安保徹教授(新潟大学大学院医歯学総合研究科教授)によって発表されました。そのお考えは以下の通りです。
いままで、膠原病に関しては、一般的に免疫が強すぎて自己細胞を攻撃するものだと考えられてきました。このためステロイドなど、徹底して免疫を抑制する薬が使われてきました。 ところが、実際はその逆で、膠原病は免疫抑制(免疫低下)の状態で発症する病気です。 実は膠原病では、「破壊された自己細胞またはその成分に対する自己抗体や自己応答性T細胞ができる」のですが、その原因は、強いストレスやウィルス感染による免疫抑制の結果「自己細胞の破壊がきっかけ」となったものなのです。 実際に膠原病の発症では、必ずストレスやウイルス感染のエピソードがあります。例えばひどい風邪を引いたあとに発症した、というようなケースがとても多いのです。ウイルスは免疫を抑制します。また、激しいストレスも体内にステロイドを分泌し、胸腺を縮こまらせ、これまたリンパ球を減少させ免疫を抑制します。 ウイルスやストレスは胸腺を中心とした通常の免疫システムを抑制します。その結果として、自己細胞に異常を生じさせます。免疫系は生じた異常細胞を排除するために、自己抗体や自己応答性T細胞を産生し攻撃します。つまり、自己細胞を攻撃する自己抗体や自己応答性T細胞の増加は、免疫抑制の反応と言えます。 このように、膠原病は、免疫抑制の病なのですから、さらに免疫を抑制するステロイド治療では治るはずがありません。 膠原病回復には、ストレスからもステロイドからも脱却する必要があります。
免疫不全症候群(エイズ) ・「AIDS(エイズ)」とは、「Acquired Immunodeficiency Syndroms 」の略です。日本語では、後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)。この名が示すように免疫系と深く関係した病気で、免疫システムが正常に働かなくなる病気です。
エイズはHIVというウイルスに感染するとかかる病気で、発病すると人間の免疫系、特にT細胞/リンパ球を破壊してしまうのが特徴です。おもに免疫細胞のヘルパーT細胞を標的にして、これを乗っ取ってしまいます。 ヘルパーT細胞は、キラーT細胞に攻撃を命じたり、B細胞に抗体を作るように指示したりと、免疫システムを機能させる「司令塔」的な役割をする不可欠な細胞です。 HIVはこのヘルパーT細胞を乗っ取って増殖していくので、免疫システムは徐々に破壊されていきます。その結果、エイズが発症すると、普通なら簡単に撃退できる病原菌や微生物に感染し、下記のような合併症に侵されやがて死にいたるのです。 ・トキニプラズマ脳症・クリプトコッカス髄膜炎・進行性多巣性白質脳症(PML)・カリニ肺炎・サイトメガロウイルス感染症・カンジダ症・クリプトスボリジウム感染症・単純ヘルペス・帯状疱疹・カポジ肉腫・リンパ腫など
現段階では、エイズに対する根本的な治療法は見つかっていません。 HIVは自分のからだを絶えず変化させているので、効果があるワクチンを作りにくいのです。患者さんの命を救うため、薬物による治療法や免疫力を高めるためのワクチン作りが急ピッチで進められています。
エイズという病気は、改めて私たちに、免疫力の大切さを教えてくれます。
免疫力を高めるために
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