インフルエンザ ウイルスと免疫反応

 免疫プラザ ウイルスが身体に進入すると次々と瞬く間に増殖します。
私たちの身体内では、このウイルスの増殖と同時に、免疫システムが臨戦態勢で反応します。

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インフルエンザ ウイルスと免疫反応


免疫の仕組み
私たちの身体は、60兆個ほどの細胞で出来ています。免疫システムが正常に働き免疫力が低下していない時は、がんやウイルス、細菌などで病気を起こすことはありません。身体の中で免疫細胞が戦い守ってくれているからです。

その免疫細胞の数は、5千億〜約1兆個とも言われています。その数や活性は年齢や体調により変化しています。
しかし、免疫力が低下すると今まで働いていたNK細胞と言う免疫細胞の働きも鈍くなります。それを防ぐためにも日頃から免疫力を高める工夫が必要です。それはご自分の身体を敵から守り、病気になりにくくするためです。

私たちの身体は、ウイルス感染にどのように反応するか
ウイルスの増殖の推移ウイルスが身体に進入すると次々と瞬く間に増殖します(左図の黄色部分参照)。そのスピードは、インフルエンザウイルスの場合、24時間以内に1個のウイルスが約10億個に増殖するほどです。私たちの身体内では、このウイルスの増殖と同時に、免疫システムが臨戦態勢で反応します。

@まずマクロファージ(貪食細胞)が身体に入ってきたウイルス(あるいはがん細胞)など異物を発見すると、抗ウイルス活性を持つたんぱく質物質である、TNFα、IL12、INFα を産生して、「ウイルスが進入」と言うシグナルを発信します。

TNFα:腫瘍壊死因子
IL12 :T細胞を活性化する
INFα:NK細胞の活性化、抗体の産生、マクロファージの統御、キラーT細胞の活性化

A次にシグナルを受け取った免疫細胞の、NK細胞、キラーT細胞、抗体が活動を開始します。
ウイルス感染後、最初に身体を守るのがNK細胞です。NK細胞は単独でウイルスに立ち向かいますが、十分に機能するまでに一定の時間(24時間〜48時間)を必要とし、それから活発に動き始めます。しばらく時間を置いてから、キラーT細胞や抗体が活動を開始します。
その結果、これらの免疫細胞働きによりウイルスの数が減っていくのです。

お子様やお年寄りなど免疫力の弱い人が、ウイルス感染で重症化する理由
図のように、ウイルスと闘う、早期におけるNK細胞の活性化がとても重要で、ウイルス増殖の進行と病気の継続時間を決定します。なぜならば、キラーT細胞やB細胞が産生する抗体(武器)が最高に動き出すまでに、かなりの時間を必要とするからです。
キラーT細胞が最高に活性化するまで、感染から約7日以上も必要です。また、抗体が活動するピークは約10日以降となります。免疫力が高い人、つまりNK細胞の活性化が高い人は、ウイルスは数日で駆逐されてしまい、インフルエンザ感染にすら気がつきません。
一般に、免疫力が弱い(つまりNK細胞の活性化が弱い)、小さい子供やお年寄りがインフルエンザ感染で重症化する理由はここにあります。勿論、大人でもストレス過剰の方や食生活の乱れや睡眠不足などで免疫力が低下した方も、同じように重症化の危険があります。

最近、新聞・テレビなどで、新型インフルエンザには「免疫」が無いから、人類は新型インフルエンザ(鳥インフルエンザ)で、多量の死亡者が出る危険性が高いと報道されていますが、この場合の免疫とは「抗体」のことを言います。
つまり、過去に経験したウイルスには免疫システムが免疫の記憶をしているので、同じウイルスが進入した場合、直ちに抗体を取り出してウイルスを撃退してくれます。
しかし、新型インフルエンザには、上図の通り抗体が活動するまでに約10日以上の時間差があり、NK細胞の活性が弱い人は、ウイルス増殖スピードに負けて発症してしまいます。

また、今注目されている抗ウイルス剤の「タミフル」は、ウイルスを殺傷する薬ではなく、ウイルスが増殖するときに発生する物質を排除して、増殖スピードを抑えることが目的の薬です。ですから、タミフルは高熱が出る時間を短縮はいたしますが、ウイルスは死滅していないので、他の人へ感染する恐れは排除できません。

このように、タミフルを服用しても家族が次々感染するのは、ウイルスが完全に消滅していないために起きるので、インフルエンザの究極的な対策は、ウイルスを殺傷してくれる免疫細胞(NK細胞の活性化)にかかっていると言えます。

人類の免疫システムは未知のウイルス(微生物)に十分対応できる
ウイルスや細菌など、地球上には無数の抗原(病原体)が存在していますが、私たちの体はその一つ一つに対応する抗体(武器)を作ることが出来ます。その数はなんと1兆個と言われています。しかも抗体は、厳密に言いますと抗原が進入してから新しく産生されるわけではありません。

体内にはあらかじめ膨大な数の抗体サンプル(部品のようなもの)がストックされています。これらには現在、地球上に存在していない抗原をも見分けられる抗体サンプルも存在し、また、例えば1億年の先の話ですが、私たち子孫の代に出現するであろう抗原にも対応できるバリエーションを用意しているものです。

私たちの体に外敵が進入してくると、サンプルの中から即座にぴったりと合う抗体が選び出され、大量にコピーされる仕組みになっているわけです。一体どんな方法で1兆個以上もの抗体を作るのか・・・これは長い間、免疫世界で最大の謎とされてきました。この謎を解いたのは、ノーベル賞を受賞した利根川進博士です。利根川博士は、いくつかの遺伝子をつなぎ変えて(再構成)、多様な抗体を作り出していることを発見しました。これを「遺伝子の再構成」と呼びます。

だから、新型インフルエンザに対する過度な脅威を持つ必要はありません。免疫システムを正常に保つ工夫と、NK細胞活性を高める生活を心がければ、心配するほどのものではありません。

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