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耐性菌は抗生物質の乱用が原因、免疫力で耐性菌対策 |
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「耐性菌」あるいは「薬剤耐性菌(薬が効かない耐性菌)」、「多剤耐性菌(多くの薬が効かない耐性菌)」という言葉を、新聞などで時々目にします。「院内感染で、多剤耐性菌MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が、30人に感染した」といった風に。一般の方は「耐性菌」と聞いても、あまりピンとこないかも知れません。
しかし、国際的には耐性菌の増加は非常に重要な問題と認識されていて、耐性菌がこのまま増加し続ければ、20世紀の最大の発明の一つである「抗生物質」の効果が失われてしまうばかりか、様々な細菌の感染症から、身を守ることが出来ないと危惧されています。
耐性菌は、薬(抗生物質など)に対して抵抗力を持ってしまい、薬が効かなくなった細菌のことで、これを薬剤耐性菌と言います。つまり、薬剤耐性菌にかかると、薬を使っても病気が治らなくなってしまいます。そして、多数の抗生物質に対して耐性のある細菌のことを、多剤耐性菌といいます。
有名な耐性菌としては、「MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)」があり、体が弱った人に、この菌が感染すると死に至ることもある、恐ろしい菌です。すでにこの菌は、日本中に広がっていますが、とにかく、薬が効きにくいので、なかなか手に負えません。
その他にも、「PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)」など、たくさんの耐性菌がいます。では、このような耐性菌は、なぜ生まれたのでしょうか?
その大きな原因は、抗生物質の乱用です。細菌感染症の治療の原則は、その菌に「有効な抗生物質」を、「適切な量」で「適切な期間」使用することですが、これを守らず、「有効でない抗生物質」を使ったり、「量が少なかったり、多かったり」、「投与期間が長すぎたり」、例えば「ウィルスなどには効果のない風邪などに使ったり」すると、耐性菌発生の原因となります。
そこで、世界保健機関(WHO)は4月30日、薬の誤使用や過剰な服用が、細菌が抗生物質に耐性を持つよう変化する原因になっていると指摘、最も強力な抗生物質さえ効かない多剤耐性菌が、世界で拡大しているとする報告書を発表しました。
WHOは、耐性菌が年齢や国に関係なく、あらゆる人が感染する可能性があると指摘。現時点で公衆衛生にとって大きな脅威で、被害が「壊滅的になる」との見方を示し、警告を発しています。
(独白:細菌に感染しないために、感染しても病気を発症しないために、自分で出来ることは何でしょう? それは、日頃から「免疫力を高める」「免疫バランスを調整する」ことです。)
【日本経済新聞、2014/4/30朝刊】
耐性菌、世界で拡大傾向 WHO「抗生物質の処方を最低限に」
世界保健機関(WHO)は30日、抗生物質が効かない耐性菌が世界で拡大傾向にあるとの報告書を発表した。アフリカや米州の一部地域では、黄色ブドウ球菌による感染のうち、8〜9割が抗生物質メチシリンへの耐性を持っていたという。
WHOは耐性菌の拡大は既に深刻な状態にあると判断。医療関係者らに抗生物質の処方を必要最低限に抑えることなどを呼びかけている。
報告書は114ヶ国から集めたデータを基に作成。カルバペネムが効かない肺炎かん菌は既に世界の全域に広がり、一部の国では患者の半数以上で効果が出なかったという。大腸菌による尿路感染の治療に使うフルオロキノロンも、効かない患者が半数を超える国がある。
日本やフランス、オーストラリア、カナダ、南アフリカなどでは、りん病の治療でセファロスポリンを投与しても効果がなかった事例が確認された。
WHOは体内にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を持つ人は、耐性のない黄色ブドウ球菌を持つ人に比べ、死亡する確率が64%高まると推定。耐性菌の感染で治療や入院が長引き、医療費が膨らむ傾向もあるとしている。
WHOのフクダ事務局長補は「関係者らが早急に連携して対応しなければ、世界は『ポスト抗生物質時代』に突入する」と指摘。具体的な対策として、各国政府に調?・研究の強化などを求めた。
一般の患者に対しては、ほかの人と抗生物質を分け合ったり、過去に殘した薬剤を服用したりするのは避けるべきだ、としている。(ジュネーブ=原克?)
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